工業簿記の財務諸表(製造原価報告書とは)

簿記の目的は財務諸表を作成することです(工業簿記でも商業簿記でもこれは変わりません)。

財務諸表とは企業の一定期間における経営成績(1年間でいくら儲かったのか)や一定時点における財政状態(いくら資産を持っていていくら借金があるのか)を企業の利害関係者に明らかにするための表を言います。商業簿記の3級を勉強されたことのある方であればおなじみの損益計算書や貸借対照表がこれにあたります。

なお、物を製造して販売する製造業では、損益計算書と貸借対照表のほかに製造原価報告書(せいぞうげんかほうこくしょ)という財務諸表を作成します。
製造原価報告書は製造業独特の財務諸表を作成であり、「物を作るのにいくらかかったのか」を明らかにする財務諸表です。

損益計算書 企業の一定期間における経営成績を明らかにします。

製造業でいえば作ったものを売っていくら儲かったのかを明らかにする表です。

貸借対照表 企業の一定時点における財政状態を明らかにします。

製造業では、現金や預金だけではなく、一定時点(決算日)において機械や車両、作りかけの製品などが工場にいくら残っているのかもこの貸借対照表で明らかにします。

製造原価報告書 物を作るのにいくらかかったのかを明らかにする表です。

製造業の場合、損益計算書で作ったモノを売っていくら儲かったのかを知るためには、そのモノを作るのにいくらかかったのかを知る必要があります。製造原価報告書はモノを作るのにいくらかかったのかを明らかにするために作成するものです。

損益計算書で「今年いくら儲かったのか」を知るためには、その「売ったものを作るのにいくらかかったのか」を知る必要があります。その点で製造原価報告書は損益計算書の添付書類としての性質を有しているといえます。

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