製品の製造に直接かかわる工員を直接工というのに対し、製品の製造に直接かかわるのではなく、これをサポートするような作業を行う工員を間接工といいます。
たとえば工場の機械の修繕や工場の清掃、工場の経理を担当する工員などは製造に直接かかわってはいませんがこれをサポートする役割を担っていますのでこれらの工員が間接工となります。
製品の製造には直接工のみならず間接工の労働力も消費していますので、間接工の労働力の消費額も製造原価の一部としてこれを集計する必要がありますが、間接工の場合は直接工とはことなり、製品の製造にどれだけ時間をかけたかなどの記録(時間記録)は行っていないため、直接工とは異なる方法で製品の製造にかかった金額の計算を行う必要があります。
間接工の消費賃金の算定は、原則として当該原価計算期間の負担に属する要支払額をもって算定することとされています(原価計算基準十二(二)参照)。
間接工の消費賃金=当該原価計算期間の負担に属する要支払額 |
なお「要支払額」とは当該期間において実際に支払った額ではなく、当該期間において支払いが確定した金額をいいますので、当月の実際に支払額から前月末時点における未払い分を控除し、当月末時点における未払い分を加算します。
間接工の消費賃金=賃金の当月支払額-前月末未払分+当月末未払分 |
間接工は消費賃金はすべて間接労務費となります。
(具体例-間接工の消費賃金の算定)
下記の間接工の賃金の支払いに関する資料より、当該原価計算の間接工の消費賃金を算定しなさい。
a 当月の賃金の支払額 :350,000円 b 前月末時点の未払賃金:100,000円 c 当月末時点の未払賃金:120,000円 |
(解答・解説)
間接工の消費賃金:当月の賃金の支払額350,000円-前月末の未払賃金100,000円+当月末の未払賃金120,000円=370,000円
間接工の消費賃金の計算は「当該原価計算期間の負担に属する要支払額」をもって算定することとされています。
いっぽう当月の実際の支払額には当月の負担に属する金額のほか、前月末における未払分(前月の負担に属するもの)が含まれており、当月末における未払分(当月の負担に属するもの)が含まれていません。
したがって当月の実際の支払額から前月末における未払分(前月の負担に属するもの)を控除し、、当月末における未払分(当月の負担に属するもの)を加算して当月の負担に属する要支払額を算定します。
(関連項目)
直接工の消費賃金算定の基礎
賃金・労務費勘定の記帳の基礎