完成品換算量の算定(総合原価計算)

総合原価計算においては、原価要素を直接材料費と加工費とに分け、それぞれ完成品原価や月末仕掛品原価を計算することになります。
直接材料費と加工費はそれぞれ、製品の数量に応じてこれを完成品や期末仕掛品原価に配分することになりますが、直接材料費と加工費とでは、原価の発生形態(発生の仕方)が異なるため、原価の配分をそのまま同列に計算することはできません。

総合原価計算の問題などでは、一般的に直接材料費は製造工程の始点においてそのすべてを投入するのに対し、加工費は製造の進捗状況に応じて順次投入される設定されています。
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したがって、直接材料費は実際の製品の数量に応じて原価を配分することができますが(始点で全ての材料を投入するため、製造工程1%の仕掛品であっても製造工程90%の仕掛品や完成品と同じ材料費がかかっていますので、これらは進捗状況に関係なく同等に原価を配分できます)、加工費は実際の数量に応じて原価を配分することはできません(製造工程10%の仕掛品と製造工程90%まで進んだ仕掛品とでは当然かかっている加工費は異なります)。

そこで加工費の配分は製品の数量に加工状況の進捗程度を加味した完成品換算量を算定し、これをもとに加工費の配分を行うことになります。
完成品換算量は製品の実際の数量に加工状況の進捗程度(加工進捗度ともいいます)を乗じて算定することになります。

完成品換算量=実際の数量×加工進捗度

完成品換算量とは、仕掛品に掛かった加工費は完成品何個当たりに相当するかを算定するための計算上の数量といえます。また加工進捗度は加工状況の進捗状況(完成品を100%とした場合の当該仕掛品の進捗度)を表します。問題文などでは月初仕掛品や月末仕掛品の加工進捗度が与えられますので、これをもとに月末仕掛品や月仕掛品の完成品換算量をもとめ、原価ボックス(ボックス図)を利用して当月投入分の加工費の完成品換算量を算定し、原価の配分をおこなうこととなります。

(計算例-完成品換算量の計算)

月初仕掛品100個の加工進捗度が60%、月末仕掛品120個の加工進捗度が40%の場合、それぞれの完成品換算量を求めよ

(計算過程)
月初仕掛品の完成品換算量=月初仕掛品数量100個×60%=60個
月末仕掛品の完成品換算量=月末仕掛品数量120個×40%=48個

なお完成品の加工進捗度は100%になりますので、かりに完成品数量が300個であった場合、当月投入高の完成品換算量は以下のように求められます(詳細はボックス図の作成をご参照ください)。

当月投入高の完成品換算量:完成品数量300個+月末仕掛品の完成品換算48個-月初仕掛品の完成品換算60個=288個

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