組別総合原価計算では、まず一期間の製造費用を組直接費と組間接費とに分け、個別原価計算に準じ、組直接費は各組の製品に賦課し、組間接費は適当な配賦基準によりこれを各組に配賦します(原価計算基準「二三 組別総合原価計算」参照)。
組直接費とはどの組(製造ライン)で発生したものかが直接にわかる原価をいい、直接材料費や直接労務費(直接工の賃金)などがこれにあたります。これらはどの組(どの製品)を製造するためにかかった費用かは簡単に把握できますので、その発生費用を各組の当月投入額にそのまま割り当てる(賦課あるいは直課などといいます)ことになります。
例えば、A製品とB製品とを大量生産する工場において組別総合原価計算を採用しているものとします。当月に発生した製品の製造原価以下の通りであったものとします。
A組 | B組 | 合計 | |
直接材料費 (組直接費) |
50,000円 | 30,000円 | 80,000円 |
加工費 (組間接費) |
- | - | 34,000円 |
この場合、組直接費である直接材料費はどの組で発生したかわかっていますので、その発生金額全額を各組に賦課(そのまま割り当てる)することになります。
したがって、A組の直接材料費は、上記の50,000円をそのまま割り当てることになり、同様にB組の直接材料費は上記の30,000円をそのまま割り当てることとなります。
いっぽう、組間接費の34,000円は直接どの組に関連する費用かわかりませんので、何らかの基準に基づきA組とB組とに配賦計算するという作業が必要となります(組間接費の配賦計算の概要については組間接費の配賦(組別総合原価計算の基礎)をご参照ください)。