組間接費の配賦(組別総合原価計算の基礎)

組別総合原価計算では、まず一期間の製造費用を組直接費と組間接費とに分け、個別原価計算に準じ、組直接費は各組の製品に賦課し、組間接費は適当な配賦基準によりこれを各組に配賦します(原価計算基準「二三 組別総合原価計算」参照)。

このうち組間接費とはどの組(どの製造ライン)にいくらかかったかを直接的に把握することができない又は把握することが困難な原価をいいます。たとえば工場全体で発生する電気代や水道代、あるいは管理部門の工員の賃金などがこれにあたります。

これらはどの組(どの製品)を製造するためにかかった費用かを把握することは困難ですので、組間接費は何らかの配賦基準(たとえば各組の機械稼働時間など)を使ってその発生金額を各組に配賦することになります(一方、その発生費用を各組にそのまま割り当てることを直課などといいます。組直接費は各組にいくらかかったかがわかる金額ですのでそのまま直課します)。

例えば、A製品とB製品とを大量生産する工場において組別総合原価計算を採用しているものとします。当月に発生した製品の製造原価以下の通りであったものとします。
またこの工場では組間接費は直接作業時間に応じて各組に配賦するとにしています。

A組 B組 合計
直接材料費
(組直接費)
50,000円分消費 30,000円分消費 80,000円
加工費
組間接費
200時間
(直接作業時間)
140時間
(直接作業時間)
34,000円

この場合、組直接費である直接材料費はどの組で発生したかわかっていますので、その発生金額全額を各組にそのまま割り当てるすることになります(A組に50,000円、B組に30,000円)。
いっぽう、組間接費の34,000円は直接どの組に関連する費用かわかりませんので、何らかの基準に基づきA組とB組とに配賦計算するという作業が必要となります。この工場では組間接費はA組とB組との直接作業時間の割合に応じて配賦することになっていますので、それぞれ組間接費の配賦計算は次のように算定します。

A組:34,000円×200時間÷(200時間+140時間)=20,000円
B組:34,000円×140時間÷(200時間+140時間)=14,000円

したがって、A組とB組とに振り分けられた組直接費及び組間接費は次のようになります。

A組 B組 合計
直接材料費
(組直接費)
50,000円 30,000円 80,000円
加工費
(組間接費)
20,000円 14,000円 34,000円

(関連項目)
組組直接費の賦課(組別総合原価計算の基礎)

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