原価標準とは、あらかじめ目標となるように設定された製品1単位当たりの標準原価をいいます。
原価標準は、直接材料費、直接労務費等の直接費および製造間接費のそれぞれについて製品単位当たりの標準原価を設定し、これらは物量標準と価格標準との両面を考慮して算定することとなります(原価計算基準第三章 四十・四十一等参照)。
1.標準直接材料費
製品単位当たりの標準直接材料費=標準価格×製品単位当たりの標準消費量 |
標準直接材料費は、直接材料の種類ごとに、製品単位当たりの標準消費量と標準価格とを定め、この両者を乗じることによって算定します。
標準消費量については、製品の生産に必要な各種素材、部品等の種類、品質、加工の方法および順序等を定め、科学的・統計的調査により製品単位当たりの各種材料の標準消費量を定めます。また標準消費量には通常生ずると認められる程度の減損・仕損等の消費余裕を含みます。
標準価格は、予定価格(将来における財貨の予定価格)又は正常価格(経営における異常な状態を排除し、正常な状態を前提として設定された価格)として設定します。
2.標準直接労務費
製品単位当たりの標準直接労務費=標準賃率×製品単位当たりの標準作業時間 |
標準直接労務費は、直接作業の区分ごとに、製品単位当たりの直接作業の標準時間と標準賃率とを定め、この両者を乗じることによって算定します。
標準直接作業時間については、製品の生産に必要な作業の種類別、使用機械工具、作業の方法および順序、各作業に従事する労働の等級等を定め、作業研究、時間研究その他経営の実情に応ずる科学的・統計的調査により製品単位当たりの各区分作業の標準時間を定めます。また標準時間には、通常生ずると認められる程度の疲労、身体的必要、手待等の時間的余裕を含みます。
標準賃率は,予定賃率(将来における財貨の予定賃率)又は正常賃率(経営における異常な状態を排除し、正常な状態を前提として設定された賃率)として設定されます。
3.標準製造間接費
製品単位当たりの標準製造間接費=標準間接費配賦率×製品単位当たりの標準操業度 |
製造間接費の標準は、これを部門別に算定します。部門別製造間接費の標準とは、一定期間において各部門に発生すべき製造間接費の予定額をいい、これを部門間接費予算として算定します。
その算定方法は、実際原価の計算における部門別計算の手続に準じ、部門間接費予算は、固定予算(予算期間において予期される一定の操業度に基づいて算定したもの)又は変動予算(予算期間において予期される範囲内における種々の操業度に対応して算定した予算)として設定します。
(関連項目)
標準原価カードの基礎