標準原価カードの基礎

標準原価計算において、製品1単位あたりの標準原価を原価標準といいますが、この原価標準を直接材料費・直接労務費・製造間接費ごとにまとめた下記のような表(カード)を標準原価カードといいます。

標準原価カードは製品1単位当たりの標準原価(原価標準)を直接材料費・直接労務費・製造間接費ごとに区分して記載したカードであり、標準原価計算において完成品原価や月末仕掛品原価を算定する場合は、標準原価カードに記載された製品1単位あたりの標準直接材料費に実際の生産数量を、標準直接労務費および標準製造間接費に完成品換算量を乗じ、これらを合計して求めることになります。

完成品の標準原価の算定

 完成品の標準原価=製品1単位あたりの標準原価×完成品数量

月末仕掛品の標準原価の算定

 標準直接材料費=製品1単位あたりの標準材料費×実際の数量
 標準直接労務費=製品1単位当たりの標準直接労務費×完成品換算量
 標準製造間接費=製品1単位当たりの標準製造間接費×完成品換算量

 月末仕掛品の標準原価=標準直接材料費+標準直接労務費+標準製造間接費

(具体例-標準原価カードを使用した原価の算定)

上記の標準原価カードを使用して、完成品原価及び月末仕掛品原価を算定しなさい。

(生産数量データ)
月初仕掛品 40個(50%)
当月投入高 160個
合計  200個

月末仕掛品 50個(60%)
完成品数量 150個
合計  200個

※ カッコ内の数値は進捗度を表します
※ 直接材料費については、すべて工程の始点で投入しているものとする。

1.完成品原価の計算過程

完成品の標準原価は、標準原価カードの製品1単位当たりの標準原価に、完成品の数量を乗じて算定します。

完成品の標準原価:製品1単位当たりの標準原価800円×完成品数量150個=120,000円

2.月末仕掛品原価の計算過程

月末仕掛品の原価を算定する際は、直接材料費と加工費(上記の標準原価カードのうちの直接労務費と製造間接費)とを分けて計算することが必要となります。直接材料費は問題文にも記載のあるとおり、製造工程の始点で全て投入されるものであるのに対し、加工費は製造工程を通じて段階的に投入されていくものと仮定するためです(直接材料費と加工費の発生形態については完成品換算量の算定(総合原価計算)も合わせてご参照ください)。

月末仕掛品のうち直接材料費については、標準原価カードの製品1単位当たりの標準直接材料費に月末仕掛品の数量をそのまま乗じることによって算定しますが、加工費(直接労務費と製造間接費)については、月末仕掛品の数量に進捗状況を加味した完成品換算量を使用して算定することになります。
完成品換算量は、月末仕掛品の実際の数量に、進捗度を乗じて算定します。

直接材料費の標準原価:製品1単位当たりの標準直接材料費500円×月末仕掛品数量50個=25,000円

月末仕掛品の完成品換算量:月末仕掛品の数量50個×月末仕掛品の進捗度60%=30個
直接労務費の標準原価:製品1単位当たりの標準直接労務費200円×30個=6,000円
製造間接費の標準原価:製品1単位当たりの標準製造間接費100円×30個=3,000円

月末仕掛品の標準原価:直接材料費25,000円+直接労務費6,000円+製造間接費3,000円=34,000円

(関連項目)
原価標準とは

スポンサーリンク