個別原価計算においては、まず原価要素を製造直接費と製造間接費とに区分することからはじめます。
このうち製造直接費とは、どの製品にいくらかかったかを直接的に把握できる原価をいいます。例えば、本棚を作るときの原料の木材や本棚の製造ラインの工員の賃金などはそれぞれの製品に直接的に関連づけることができるため直接費となります。
これらの費用はどの製品のために発生したものか直接的に関連づけることができるため、その発生額を各製品(個別原価計算では製造指図書)に賦課(直課)することになります。
たとえば、たんすと本棚を製造する木製品工場において、当月に直接材料費として木材1,000円を購入し、そのうち400円を指図書1(たんす)の製造のための使用し、残りの600円は指図書2(本棚)の製造のために使用した場合、原価計算表を使用し、指図書1(たんす)と指図書2(本棚)にそれぞれ以下のように発生した原価を賦課します。
直接材料費としての木材の購入金額1,000円のうち、指図書1(たんす)の製造には400円かかったことが分かっていますので、原価計算表の指図書1の列に400円と記入します。同様に、指図書2(本棚)の列には、本棚に掛かった600円を記入します。
直接材料費の横列の合計1,000円が当月に投入した直接材料費の合計となります。
(具体例-製造直接費の直課)
上記の木製品工場において、当月の直接労務費として工員の賃金が1,500円発生しており、そのうち800円を指図書1(たんす)の製造ラインの工員の賃金として支払い、残りの700円は指図書2(本棚)の製造ラインの工員の賃金として支払ったものである。
また直接経費が350円発生しており、そのうち200円を指図書1(たんす)の製造のために支出したものであり、残りの150円は指図書2(本棚)の製造のために支出したものである。
上記の原価計算表について、直接労務費と直接経費の欄をそれぞれ記入しなさい。
(解答)
直接労務費としての賃金支払金額1,500円のうち、指図書1(たんす)の製造には800円かかったことが分かっていますので、原価計算表の指図書1の列に800円と記入します。同様に、指図書2(本棚)の列には、本棚に掛かった700円を記入します。
直接労務費の横列の合計1,500円が当月に投入した直接労務費の合計となります。
同様に直接経費として発生した350円のうち、指図書1(たんす)の製造には200円かかったことが分かっていますので、原価計算表の指図書1の列に200円と記入します。同様に、指図書2(本棚)の列には、本棚に掛かった150円を記入します。
直接経費の横列の合計350円が当月に投入した直接経費の合計となります。