製造間接費の実際配賦の問題点と予定配賦

製造間接費を各製造指図書(各製品)へ配賦する方法には、製造間接費の実際発生額を配賦する方法(実際配賦)のほか、予定配賦という方法があります。

予定配賦とは、あらかじめ定めておいた予定配賦率に実際の配賦基準(各製品ごとにかかった作業時間など)を乗じて、各製品ごとへ配賦する製造間接費を算定する方法をいいます。

予定配賦額=予定配賦率×実際の配賦基準(各製品ごとの作業時間など)

実際に発生した金額を配賦する実際配賦には次のような問題点があります。

1.実際に発生した金額を配賦するため、一定期間の製造間接費の実際発生額が確定するまで(すなわち原価計算期間の経過後まで)、各製品への製造間接費の配賦計算が行えず、各製品の原価の計算が遅れてしまう

2.実際発生額や操業度は毎月変動するため、実際発生額を各製品へ配賦するための実際配賦率も毎月変化します。これは、ある製品を毎月同じように製作していたとしても、配賦率そのものが毎月異なることにより、その製品の原価も毎月異なってしまうことを意味します。

予定配賦ではあらかじめ定めておいた予定配賦率に実際の配賦基準を乗じるので、一定期間が経過していなくても迅速に配賦計算を行うことができ、各製品ごとの原価をすぐに知ることができるという利点があります。
また予定配賦率は一年の期首に定められ、その期間を通して常に一定のため、配賦率の変動による製品原価への影響を抑えることができるようになります。

原価計算基準三三「間接費の配賦」においては、間接費は原則として予定配賦率をもって各指図書(各製品)へ配賦するものとしています(製造間接費は予定配賦計算を原則と位置づけています)。

(関連項目)
予定配賦額の仕訳とボックス図の流れ(個別原価計算)

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