工程別総合原価計算の基本的な流れ

1.工程別総合原価計算とは

総合原価計算において、製造工程が二つ以上の連続する工程に分けられるような場合、各工程ごとに製品の原価を計算することがあります。このような工程ごとに原価を計算する総合原価計算を工程別総合原価計算といいます。

2.工程別総合原価計算の流れ

たとえば、本棚を製造する工場において工程別総合原価計算を採用する場合を考えてみましょう。
この本棚を製造する工場では、工場の製造工程を材料の切り出し部門(第一工程)と組み立て部門(第二工程)の2つの部門に分けて製造を行っています。


第一工程と第二工程とは連続しており、材料の木材はまず第一工程に投入され切出・成型されたあと、第二工程へ投入され、最終製品である本棚へと組み立てられます。

工程別総合原価計算では第一工程と第二工程のそれぞれで原価計算を行い、完成品である本棚の原価はこれらの合計として算定されることになりますが、その手順としてはまずは第一工程(切出し部門)において総合原価計算を行い、第一工程の完了品(切出成型後、組み立て前の木材)の原価を算定します。

第二工程である組み立て部門では、第一工程の完了品である成型後の木材が投入され、これを使って最終製品である本棚へと組み立てられることになりますが、第二工程においては第一工程の完了品原価を始点投入の材料と同様に扱い、改めて総合原価計算を行うことになります(第二工程において第一工程の完了品原価は前工程費といいます)。

上記のような流れで第一工程完了品の原価を第二工程の原価計算へ算入することにより、第二工程の完成品原価には第一工程と第二工程の製造原価の両方が含まれることになります。この本棚工場では第二工程(組み立て部門)が最終工程となりますので、この第二工程の完成品原価が製品(本棚)の製造原価となります(この方法は累加法とよばれています)。

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