直接材料費や補助材料費などで出入記録を行う材料(材料元帳を使って出入りを管理する材料)に関する原価は、各種の材料につき原価計算期間における実際の消費量に、その消費価格を乗じて計算します。
材料の消費原価=消費価格×消費数量 |
上記算式のうち、材料の実際の消費量の計算方法には継続記録法と棚卸計算法とよばれるものがあり、それぞれの概要・特徴は以下のとおりです。
1.継続記録法とは
継続記録法とは、原価計算期間を通して継続的に材料の出入を記録・管理する方法をいいます。
この方法では、材料を受け入れるつど、また材料を製造工程へ払いだすつど、材料元帳という材料の有高を管理する帳簿に受入数量や払出数量を記録していきます。したがって、この方法での材料の消費数量の算定は、材料元帳に記録した実際の払出数量をそのまま使用することになります。
材料の消費数量=材料元帳における実際の払出数量 |
この方法では、材料の受入・払出の数量を常に帳簿で管理しているため、今いくら材料が残っているのか(帳簿残高)を常に明らかにすることができます。
また、期末などにおいて実際に材料(実際残高)を数えてこれを帳簿残高と比較することにより、製造工程への投入以外の理由による材料の減少分(棚卸減耗)を把握することができます。
2.棚卸計算法とは
棚卸計算法とは、材料の受入のみ記録する方法をいいます。
この方法では、材料を受け入れるつど受入数量を材料元帳へ記入しますが、材料を製造工程へ払い出した時には払出数量の記録は行いません。したがって材料元帳の払出数量から消費数量を直接把握することはできません。
この方法では、原価計算期間の末に材料の実地棚卸を行い、材料の実際の在庫有高を確定したのち次の算式によって原価計算期間における材料の消費数量を算定します。
材料の消費数量=期首在庫有高+期中在庫受入高-期末有高における実際の払出数量 |
この方法の特徴は、期中は受入数量のみを帳簿で管理し、払出数量の算定は期末に実地棚卸をおこない、上記算式より差額で算定することです。
したがって、材料の受入と払い出しの両面を記録・管理する継続記録法と比べ、手数が少なくてすみます。
いっぽう期中の払出数量は記録しないため、期中において在庫数量(いま倉庫に材料がどのくらいあるのか)を把握することができず、また期末に帳簿上の在庫数量と実際の在庫数量とを比較することができないため、棚卸減耗(製造工程への払出以外による在庫の減少分)を把握することができないという問題があります。
上記のような棚卸計算法の問題点から、原価計算基準(11.材料費計算(2))においては、原則として継続記録法によって計算することとされています。ただし継続記録法によって計算することが困難なもの、またはその必要のないものについては棚卸計算法を適用することができるものとされています。
(関連項目)
材料の消費原価の計算の基礎
材料の消費価格の決定方法のまとめ