このページでは材料の消費価格の決定方法のうち、移動平均法についてご説明します。
移動平均法とは、材料を受け入れるたびに、その時点における受入材料とそれまでの在庫材料との平均単価を算出し、この平均単価をもって次の材料の消費価格とする方法をいいます。
移動平均法では、材料を購入するたびに次のような計算式を使って、購入した材料と在庫として残っている材料の平均単価を算定します。
平均単価=(材料の購入金額+材料の在庫金額)/(材料の購入数量+材料の在庫数量) |
言葉だけではわかりずらい点もございますので、実際の数値を使って消費価格の決定方法である移動平均法をご確認ください。
移動平均法の計算
7月の当工場における材料Aの購入および消費の状況は以下の通りであった。7月10日および7月24日に消費した材料の消費原価を求めなさい。
なお材料の消費価格は移動平均法により算定することとする。
7月1日(月初):10個(@3,000円) 7月7日 :購入 40個(@3,500円) 7月10日:消費 30個 7月17日:購入 20個(@2,700円) 7月24日:消費 30個 |
1.7月10日の消費原価の計算
移動平均法では、材料を受け入れる都度、受入材料それまでの在庫の材料との平均単価を算定し、その平均単価をもって次の材料消費時の消費価格とします。したがって7月10日の材料の消費価格は直近に材料を受け入れた7月7日時点における平均単価を算定し、これを消費価格として計算することになります。7月7日材料受入時における平均単価は以下のようになります。
7月7日材料受入時における平均単価:(@3,000円×10個+@3,500円×40個)/(10個+40個)=@3,400円
よって、7月10日に消費した材料30個の消費価格(単価)は1個あたり3,400円となりますので、消費原価は以下のようになります。
7月10日の材料の消費原価:@3,400円×30個=102,000円 |
2.7月24日の消費原価の計算
上記と同様に、7月24日の材料の消費価格は直近に材料を受け入れた7月17日時点における平均単価を使用することになりますので、これを消費価格として計算することになります。7月17日材料受入時における平均単価は以下のようになります。
7月17日材料受入時における平均単価:(@2,700円×20個+@3,400円×20個)/(20個+20個)=@3,050円
よって、7月17日に消費した材料30個の消費価格(単価)は1個あたり3,050円となりますので、消費原価は以下のようになります。
7月17日の材料の消費原価:@3,050円×30個=91,500円 |
なお、上記の計算をもとに当工場における7月の材料元帳を記入すると次のようになります。
日付 | 概要 | 受入 | 払出 | 残高 |
7月1日 | 前月繰越 | 10個 (@3,000) |
- | 10個 (@3,000) |
7月7日 | 仕入 | 40個 (@3,500) |
- | 50個 (@3,400) |
7月10日 | 消費 | - | 30個 (@3,400) |
20個 (@3,400) |
7月17日 | 仕入 | 20個 (@2,700) |
- | 40個 (@3,050) |
7月24日 | 消費 | - | 30個 (@3,050) |
10個 (@3,050) |